吾輩は猫である。名はまだない。
日々の暮らしは穏やかだが、
時に地は揺れ、風は荒れ、雨は牙をむく。
そのたびに、人は「防災」を語る。
だが忘れてはならぬ。
人と共に生きる吾輩たちにも備えは必要だということを。
キャリーケースは避難の船。
普段から慣れていなければ、いざという時に吾輩は中で暴れる。
水とカリカリは三日分。
薬やトイレ砂も、小さな袋にまとめておくのがよい。
首輪やマイクロチップは、離れたときに吾輩を見つける道しるべ。
写真も大切だ。
「この子です」と飼い主が示せる証拠となる。
避難所では「動物は困る」という声もある。
けれど、人と吾輩を切り離せば、
飼い主の心は折れ、吾輩も不安に沈む。
だからこそ、共に過ごせる仕組みを作ることが肝要である。
吾輩はただ、飼い主の足元で丸くなり、
その背に寄り添うだけしかできぬ。
だがその温もりは、暗闇の中で人を支える灯火となるはずだ。
吾輩は猫である。名はまだない。
それでも声を大にして言おう――
防災とは、人と吾輩が共に生き延びるための約束事である。
非常袋 人も猫とも 未来守る