吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― 猫のキーボード事件 編―

2025年10月14日

吾輩は猫である ― 猫のキーボード事件 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

本日、重大な事件が発生した。
被害者は飼い主、加害者は――吾輩である。

飼い主は朝から「リモート会議」とやらに忙しく、
画面の向こうに頭を下げたり、笑ったりしていた。
吾輩はその横で待っていたが、
昼ごはんの時間になっても声をかけてくれない。

やむなく、吾輩は抗議の意を示した。
机に飛び乗り、キーボードの上を堂々と行進したのだ。
その瞬間――画面の中で「えっ!?」「何これ!?」と騒ぎが起こった。
どうやら吾輩の足跡が、プレゼン資料を一瞬で消したらしい。

飼い主は青ざめ、
「Ctrl+Z!Ctrl+Z!」と唱える呪文を必死に連呼。
吾輩はその姿を見て、
「なるほど、これが人間の危機管理能力か」と感心した。

やがて会議は無事再開された。
飼い主は深いため息をつき、
吾輩の頭をぽんと叩いてこう言った。
「…お願いだから今日はもう休んで」

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、画面越しの世界に一石を投じたこの勇気、
きっと無駄ではなかったはずだ。足あとで 世界が止まる 春の昼


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gonta

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