吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― 満天の星空 編―

2025年11月11日

吾輩は猫である ― 満天の星空 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

夜。
飼い主が寝静まったあと、
吾輩はそっと窓辺にのぼった。
雲ひとつない空に、
星が無数に散りばめられている。

まるで誰かが黒い布に
針で小さな穴をあけ、
そこから光をこぼしたようだ。

遠くの山も街も眠っている。
けれど空だけは、
何千年も昔から目を覚ましたままだ。

吾輩は思う。
あの光は、今も届き続けている。
何光年も前に消えた星の光が、
こうして吾輩の瞳に映るのだ。
――不思議なことだ。
小さな命が、宇宙の果てとつながっている。

流れ星がひとすじ、夜を切り裂いた。
願いごとをする間もなく消えたが、
吾輩はそっと喉を鳴らした。
願いなど言葉にせずとも、
この静かな瞬間こそ、
生きている証だからだ。

吾輩は猫である。名はまだない。
だがこの夜空の下で、
誰かの祈りと光が交わっている気がした。

星満ちて 眠りも光る 窓の縁


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gonta

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