吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ―猫ノーベル賞 編―

2025年12月4日

吾輩は猫である ―猫ノーベル賞 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

今日、飼い主がスマホを見ながら突然叫んだ。
「ちょっと! 君、ノーベル賞とったらしいよ!」
吾輩は尻尾を立てて驚いた。
――何の賞である? 平和賞か? 医学賞か? それとも“昼寝学賞”か?

どうやら発表によれば、
吾輩の“人間のメンタルを安定させる行動”が
世界に多大なる貢献をしたらしい。
つまり、ひざの上で寝ること、
喉を鳴らすこと、
そっと寄り添うこと――
それらすべてが科学的に証明されたというのだ。

授賞式では、
スウェーデン王室の方々が拍手をしていた。
吾輩は赤いカーペットの上を慎重に歩き、
壇上で小さく「にゃ」とだけ挨拶した。
言葉は少ないほど、真実は伝わるものである。

記者会見では、
「受賞の理由をひとこと」と問われた。
吾輩は思った――
功績とは、大きな発明だけではない。
毎日をそっと支える小さな行いも、
誰かの世界を変えることがあるのだと。

帰ると、飼い主が言った。
「すごいね。でも、いつも通りでいいよ。」
吾輩は膝の上に飛び乗り、
静かに喉を鳴らした。
ノーベル賞より、この場所が尊い。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが今日、世界が少し優しく見えた。

世界より 膝のぬくもり 吾輩賞


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gonta

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