【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫も愛嬌 編―

2025年12月23日

吾輩は猫である ―猫も愛嬌 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

世の中には「愛嬌が大事だ」と言う人がいる。
笑顔だとか、気配りだとか、
場の空気を読む力だとか。
なるほど、人間界はなかなか忙しい。

だが、吾輩は思う。
愛嬌とは、作るものではなく、
“にじみ出るもの”ではないかと。

吾輩は特別に笑顔を練習したことはない。
ただ、眠いときは眠そうな顔をし、
嬉しいときはしっぽが揺れ、
構ってほしいときは、そっと近づくだけだ。

それでも人は言う。
「この子、愛嬌あるよね」と。

先日、来客があった。
吾輩は逃げもせず、
かといって無理に近づきもせず、
少し離れた場所で香箱座りをした。
するとその人は、
「わぁ……感じがいい猫だね」と声を潜めた。

愛嬌とは、
相手に安心してもらう距離感なのかもしれない。
出過ぎず、引きすぎず、
そのままそこにいること。

夜、飼い主が言った。
「君はさ、愛嬌で生きてるよね」
吾輩は喉を鳴らした。
生きるのに必要なのは、
完璧さではなく、
ちょうどいい“ゆるさ”なのだ。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、愛嬌という名の才能だけは、
生まれつき持っているらしい。

肩の力 抜けばにじむや 猫愛嬌


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gonta

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