【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―レアアース 編―

2026年1月22日

吾輩は猫である ―レアアース 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

飼い主が難しい顔でニュースを見ていた。
「レアアースが止まると、困るんだよな。」
吾輩は首をかしげた。
皿の中身が減るわけでも、
暖房が止まるわけでもなさそうだが、
人間にとっては大事らしい。

レアアース。
名前は派手だが、
姿は地味で、
土の中にひっそりと眠っている。
だが、それがなければ、
画面も、
電池も、
静かに動く機械も成り立たぬという。

吾輩は思う。
猫の世界にも、
似たものがある。
毎日の水、
決まった時間、
安心できる匂い。
目立たぬが、
欠ければすぐに不安になる。

人間は、
便利になるほど、
見えないものに依存する。
そして、
見えないからこそ、
当たり前だと思ってしまう。

飼い主が言う。
「全部、誰かに頼りすぎるのはよくないよな。」
吾輩はその言葉に、
静かに同意した。
猫もまた、
一つの寝床だけに頼らず、
複数の逃げ場を持つ。
それが生きる知恵だ。

レアアースは、
争いの種にもなるが、
工夫の種にもなる。
代わりを考え、
使い方を見直し、
無駄を減らす。
それは、
人間がもう一段賢くなる合図かもしれぬ。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが思う。
本当に貴重なものほど、
静かで、
なくして初めて気づくのだ。

土の奥 見えぬ力で 世を支え


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gonta

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