【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―肩のり猫 編―

2026年2月19日

吾輩は猫である ―肩のり猫 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

吾輩の居場所は、
床でも、膝でも、棚の上でもない。
今日は肩である。

人の肩は不安定だ。
少し動けば揺れ、
呼吸で上下する。
だが、その揺れが心地よい。
世界が少し高くなり、
音が遠ざかる。

肩に乗るには条件がある。
焦らぬこと。
急に立ち上がらぬこと。
そして、
信頼を裏切らぬこと。

飼い主は動きを抑え、
声を低くする。
吾輩は爪を立てず、
体重を分散させる。
これは共演だ。

人はよく言う。
「重くない?」
吾輩は思う。
重さとは、
体重のことではない。
預けられるかどうか、
その一点だ。

肩の上から見る景色は、
判断が早い。
逃げ道が見え、
来客の匂いも先に分かる。
だが吾輩は、
見張りのために乗っているわけではない。

ただ、
ここが静かだからだ。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが肩に乗るとき、
人は人で、
猫は猫で、
ちょうどよい距離になる。

肩の上
預ける重さ
信頼分


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gonta

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