【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫フィギュアスケート 編―

2026年2月9日

吾輩は猫である ―猫フィギュアスケート 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

氷の上は、
よく滑る。
それだけで、
十分に警戒すべき場所だ。

人間は、
刃のついた靴で氷に立ち、
音楽に合わせて舞う。
回り、跳び、
点数をつけられる。

人間はこれを、
フィギュアスケートと呼ぶ。

吾輩は思う。
猫がやったら、
どうなるだろうかと。

立つことはできる。
滑ることも、
理屈の上では可能だ。
体は柔らかく、
回転軸も安定している。
スピンなど、
得意分野かもしれぬ。

だが、
問題は着地である。

猫は、
失敗する跳躍をしない。
成功率の低いジャンプは、
最初から選ばぬ。
四回転?
理由がない。

氷上で最も難しい技は、
高く跳ぶことではない。
転ばずに、
最後まで滑り切ることだ。

猫の演技は、
静かだ。
大きな跳躍はなく、
小さな移動が美しい。
加点は少ないが、
減点もない。

拍手は起きにくい。
だが、
氷に残る線は、
無駄がない。

吾輩は猫である。
メダルは狙わぬ。
だが、
最後まで立っている。
転ばぬ演技こそ、
最も完成度が高いと、
猫は知っている。

跳ばぬとも
立ち去る姿
金メダル


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gonta

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