【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫聖火リレー 編―

吾輩は猫である ―猫聖火リレー 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

街に、
火がやってきた。
特別な火で、
特別に守られ、
特別に走らされる。

人間はこれを、
聖火リレーと呼ぶ。

道は整えられ、
声は揃えられ、
時間は秒単位で管理される。
火は揺れるが、
計画は揺れぬ。

吾輩は、
少し離れた縁石の上から、
それを見る。
走る必要はない。
火は、
こちらまで届いている。

火とは、
渡すものではない。
見失わぬものだ。

人は、
次へ次へと繋ぐ。
落としてはならぬと、
強く握る。
だが、
強く握るほど、
熱さは増す。

猫なら、
持たぬ。
近づきすぎず、
遠ざかりすぎず、
ただ、
消えぬ距離を保つ。

やがて、
走者は去り、
拍手も流れていく。
残るのは、
温もりの記憶と、
元の夜道だ。

吾輩は猫である。
火は運ばぬ。
だが、
灯りの意味は知っている。
続くものとは、
急がずとも、
消えぬ心のことだ。

走らずに
火を見失わず
夜は更け


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gonta

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