【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫侍ジャパン 編―

2026年3月13日

吾輩は猫である ―猫侍ジャパン 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

春になると、
人間は急に「侍」を名乗り始める。
刀ではなく、
バットを握り、
国の名を背負って球を追う。

人間はこれを、
侍ジャパンと呼ぶ。

なるほど。
侍とは、
強く振るう者ではない。
最後まで立つ者である。

もし猫が侍ジャパンに入るなら、
守備は任せてほしい。
打球への反応、
低い重心、
跳躍力。
内野守備など、
猫の得意分野だ。

ただし、
問題が一つある。

ボールが止まると、
つい触る。
転がると、
つい追う。
審判の目の前でも、
本能は止まらぬ。

それでも、
侍という言葉には、
少し敬意がある。
勝つために戦うより、
負けても背筋を伸ばすこと。
それが、
本当の侍かもしれぬ。

試合は終わり、
歓声は静かに消える。
残るのは、
勝敗よりも、
グラウンドに残った足跡だ。

吾輩は猫である。
侍にはならぬ。
だが、
転がる球を追う心は、
世界中の猫で同じである。


球追えば
侍も猫も
ただ無心


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gonta

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