【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫、主役を取り返す 編―

2026年4月9日

吾輩は猫である ―猫、主役を取り返す 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

最近、
主役の位置が、
少しだけ揺らいでいる。

人間は、
あちらを見て笑い、
こちらを見ては通り過ぎる。
視線の中心が、
微妙にずれているのだ。

犬スタンド。
写真。
新しい何か。

なるほど。
世は移ろう。

だが、
主役とは、
与えられるものではない。
自然に集まるものだ。

吾輩は、
静かに動く。

音を立てず、
無理に割り込まず、
しかし、
確実に視界の中心へ。

座る。
ただ、
そこに座る。

それだけで、
空気が変わる。

人間の手が止まり、
視線が戻り、
言葉が少し遅れる。

「……やっぱり、こっちだな」

猫は、
奪わぬ。
だが、
引き寄せる。

可愛さでも、
派手さでもない。
存在そのものが、
場を支配する。

やがて、
写真は猫に変わり、
視線も戻る。
何事もなかったように。

吾輩は猫である。
主役を主張せぬ。
だが、
気づけば中心にいる。
本当の主役とは、
取り返すものではなく、
そこに戻るものなのだ。


座るだけ
主役はそっと
戻りけり


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gonta

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