【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―犬スタンド 編(猫はちょっとヤキモチ編)―

2026年4月8日

吾輩は猫である ―犬スタンド 編(猫はちょっとヤキモチ編)―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

部屋に、
新しい気配が増えた。
人間は嬉しそうに、
一枚の板の前で立ち止まる。

そこには、
まいやんと、
犬がいる。

……犬である。

動かぬ。
鳴かぬ。
ただ、
そこにいる。

人間はこれを、
犬スタンドと呼ぶらしい。

妙だ。

撫でる。
笑う。
写真を撮る。
そのたびに、
表情がやわらぐ。

吾輩は、
少し離れた場所に座る。
近づく理由はあるが、
近づかぬ理由もある。

猫は、
比べぬ。
だが、
感じはする。

あの笑顔が、
自分に向いた時と、
少し似ていることを。

犬は、
寄り添う存在。
猫は、
寄り添わせる存在。

どちらも、
違う形で満たす。

だが、
同じ場所に置かれると、
少しだけ、
心が動く。

吾輩は、
そっと伸びをする。
わざとらしくなく、
しかし、
気づく程度に。

人間は、
ふとこちらを見る。
そして、
少しだけ笑う。

それでよい。

吾輩は猫である。
競わぬ。
だが、
忘れられもせぬ。
ヤキモチとは、
愛情がまだそこにある
証なのだ。


横目して
少し近づく
春の猫


  • この記事を書いた人

gonta

-【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編