【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―総選挙 センター争い 編―

2026年2月20日

吾輩は猫である ―総選挙 センター争い 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。

街が、急に騒がしくなった。
壁という壁に顔が貼られ、
声という声が、少しずつ大きくなる。

人間はこれを、
総選挙と呼ぶらしい。

皆、前へ出たがる。
真ん中に立ちたがる。
センターとは、
光の集まる場所だと信じているのだ。

約束は多く、
言葉は軽く、
語尾はやけに断定的である。
未来は、もう決まったかのように語られる。

吾輩は、少し離れた場所でそれを見ている。
争っているのは、
立ち位置であって、
責任ではないように思えたからだ。

本来、中心とは、
声を張る場所ではない。
周囲が動いても、
揺れぬ点である。

目立つ者が選ばれるのではない。
目立たぬ間に、
耐えてきた者が残る。

叫ぶ猫も、
指差す猫も、
皆、必死である。
それ自体は、悪くない。

だが、
選ばれた後の静けさを、
誰が引き受けるのか。
その問いだけが、
夜風の中に残っていた。

吾輩は猫である。
センターには立たぬ。
だが、外れもしない。
騒ぎが去ったあとも、
同じ場所に座っているつもりだ。

真ん中へ
集まる声ほど
軽くなる



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gonta

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