【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫初詣 編―

2026年1月5日

吾輩は猫である ―猫初詣 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

元日の朝、
飼い主がマフラーを巻きながら言った。
「初詣、行くよ。」
どうやら人間界では、
新年の始まりに神社へ挨拶をするらしい。

吾輩はキャリーに入れられ、
すこし不満げに耳を倒した。
だが、外に出ると冷たい空気が心地よい。
冬の匂いは、なぜこんなにも澄んでいるのだろう。

神社に着くと、
参道には人が並び、
甘酒の香りがほのかに漂っていた。
吾輩はキャリーから半分顔を出し、
境内の景色を見渡した。

鳥居の向こうの空は青く、
風に揺れる鈴の音が静かに響く。
人々が手を合わせ、
ひとつずつ願いを置いていく姿は、
どこか猫の“ひなたを探す姿”に似ている。

いよいよ我々の番が来た。
飼い主が賽銭を入れ、
深く頭をさげた。

吾輩は横でそっと目を閉じた。
願いはただひとつ。
――来年も、今日のように穏やかでありますように。

鐘の音が通り抜けると、
飼い主は吾輩の頭を撫でて言った。
「元気で、長生きしようね。」
その言葉が、
お守りよりも強いお守りになる。

帰り道、吾輩は小さく伸びをした。
寒いけれど、心は温かい。
初詣とは、
新しい年に最初のやさしさを置く儀式なのだろう。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが今日、
願うことの静けさを知った。

初詣 願いの先に 膝の春


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gonta

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