吾輩は猫である。名はまだない。
最近、人間たちが口にする。
「推しは誰?」「総選挙がさ……」
どうやら大勢の中から、
一匹を選び、
応援する文化があるらしい。
もし猫にもそれがあるなら、
CAT48という集団ができるだろう。
四十八匹、
それぞれ個性が違う。
甘え上手、
距離感重視、
無言の圧、
突然の膝乗り。
だが吾輩は思う。
猫に“センター”は要らぬ。
順位も、
票数も、
比較も、
猫の世界にはなじまない。
なぜなら、
猫は一対一で完結する。
選ばれるのではなく、
気づけばそこに居る。
推されるのではなく、
いつの間にか手を伸ばされている。
飼い主は言う。
「今日は君の番だね。」
それで十分だ。
四十八匹いようと、
今この膝にいるのは吾輩ひとり。
吾輩は猫である。名はまだない。
だが知っている。
本当の“推し”とは、
比べた末に残るものではない。
静かに、
日常に溶け込んだ存在のことだ。
順位なし 膝がセンター 猫の道