【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―義理と本命の間 編―

2026年2月15日

吾輩は猫である ―義理と本命の間 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。

机の上に、
同じようで違う包みが並ぶ。
大きさは揃え、
色は変え、
だが、
置き方に差がある。

人間は、
これを
義理と本命の間と呼ぶらしい。

どちらでもない、
と言い切るには、
少し温度が高い。
どちらかだ、
と認めるには、
まだ勇気が足りぬ。

その間に、
人は立つ。

言葉を足せば重くなり、
省けば冷たくなる。
最適解は、
いつも手の届かぬ場所にある。

吾輩は、
包みの間を歩く。
踏めば音がするから、
そっと避ける。
曖昧なものほど、
壊れやすい。

義理は、
社会を円くする。
本命は、
心を尖らせる。
間にあるものは、
どちらも失わぬための、
人の知恵かもしれぬ。

やがて、
一つは渡され、
一つは残る。
残った方が、
重く感じられるのは、
なぜだろう。

吾輩は猫である。
選ばぬことも、
選択であると知っている。
義理と本命の間には、
人の弱さと、
やさしさが同居している。

間に立つ
包みの重さ
春遠し



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gonta

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