【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―力の支配 編―

2026年1月25日

吾輩は猫である ―力の支配 編―


吾輩は猫である。名はまだない。

人間の世界では、
「力」がものを言う場面が多い。
声の大きさ、
数の多さ、
金の重さ、
肩書の硬さ。

それらが揃うと、
正しさより先に、
従わせる空気が生まれる。

吾輩はそれを、
高い棚の上からよく見ている。

力で押さえつけると、
一時は静かになる。
だが、
本当に静かなのは、
納得ではなく、
諦めだ。

猫の世界でも、
力は存在する。
大きな体、
鋭い牙。
だがそれだけでは、
群れは保てない。

無駄に威嚇する猫は、
やがて孤立する。
力を持ちながら、
使わぬ猫が、
一番長く場所を守る。

飼い主がニュースを見て、
ため息をついた。
「強いほうが勝つのは、
簡単だけどさ……」

吾輩は思う。
支配とは、
力で相手を動かすことではない。
相手が動かなくても、
そこに居られる余裕を持つことだ。

本当に強いものは、
従わせない。
選ばれる。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、
膝の上に乗るとき、
誰かに命じられたことはない。
それが、
答えなのだ。

力より 寄る理由こそ 強さなり


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gonta

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