【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫五輪 編―

2026年2月18日

吾輩は猫である ―猫五輪 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。

吾輩は猫である。
名前はまだない。

街が、急に一つの言葉を繰り返し始めた。
旗が増え、
音が大きくなり、
人の目が、遠くを向く。

人間はこれを、
五輪と呼ぶ。

競い、
測り、
並べ、
順位をつける。
世界は一瞬、
一直線になる。

人は言う。
速い者が偉く、
高い者が強く、
多く獲る者が称えられるのだと。

吾輩は、
少し離れた場所でそれを見る。
猫にとって、
速さは生き延びる術であり、
誇るものではない。

跳ぶのも、
登るのも、
本来は静かな行為だ。
拍手があるから、
するわけではない。

表彰台の上では、
笑顔が整えられ、
下では、
言葉にされぬ重さが残る。
勝ち負けとは、
終わった後に、
一人で引き受けるものらしい。

吾輩は思う。
本当に世界をつなぐのは、
同時に見ることではなく、
同じ静けさを共有することではないかと。

夜、
競技が終わり、
街が少し静かになる。
残るのは、
記録よりも、
疲れた体と、
明日の朝だ。

吾輩は猫である。
メダルはいらぬ。
だが、
続けてきた日々には、
等しく価値があると知っている。
猫五輪とは、
誰にも見せぬ努力が、
各々の場所で完走することだ。

順位なく
走りきった日
星が出る



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gonta

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