【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―初夢 編―

2026年1月7日

吾輩は猫である ―初夢 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

正月の夜は静かだ。
テレビの音も早く消え、
家の中には、こたつの余熱と眠気だけが残っている。
飼い主は「いい初夢を見るんだよ」と言って灯りを落とした。

吾輩は丸くなり、
ゆっくりと夢の中へ滑り込んだ。

夢の中で吾輩は、
大きなひなたにいた。
空は高く、
風は冷たくなく、
地面はちょうどいい温度だ。

遠くから、
富士山のような形の爪とぎが見え、
そのそばには立派な鷹が羽を休め、
足元には大きなナスが転がっていた。
――人間で言うところの、
縁起の良い夢らしい。

だが吾輩は、
それらに特別な興味は持たなかった。
気になったのは、
ひなたの真ん中に置かれた、
いつもの毛布である。

吾輩はそこに座り、
喉を鳴らした。
すると、
夢の中の時間がゆっくりと流れ出した。
急ぐ必要も、
競う必要もない。

やがて、
飼い主の寝息が遠くから聞こえ、
吾輩はふっと目を覚ました。
まだ夜だ。
だが、胸の奥が少し明るい。

初夢とは、
未来を占うものだという。
ならば今年は、
この静けさが続く一年なのだろう。
それ以上の吉兆は、
猫には必要ない。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、この初夢、
たいそう気に入った。

初夢や ひなたの中で 年ひらく


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gonta

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