【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―いけおじ猫 編―

2026年1月23日

吾輩は猫である ―いけおじ猫 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

若いころは、
高いところに登り、
無駄に走り、
何にでも首を突っ込んでいた。
だが今は違う。
登る場所は選び、
走る理由があるときだけ走る。

毛並みは少し落ち着き、
動きは静かになった。
だが、その分、
場の空気がよく見える。
これが“いけおじ”というものらしい。

吾輩はいちいち主張しない。
鳴かずとも、
視線ひとつで伝わる。
甘えるときも、
全面には出ない。
さりげなく、
膝の端を使う。

若い猫が騒いでいても、
吾輩は距離を保つ。
叱らない。
羨ましがらない。
ただ、
「楽しそうだな」と思うだけだ。

飼い主が言う。
「最近、渋いよね。」
その言葉に、
吾輩はしっぽを一度だけ揺らした。
渋さとは、
足し算ではなく、
引き算の結果なのだ。

無理をしない。
競わない。
だが、
ここぞというときは譲らない。
お気に入りの場所、
大事な人、
譲れぬものは、
もうよく分かっている。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、
歳を重ねたこの今が、
いちばん似合っていると知っている。

渋み増し 語らず魅せる 冬の猫


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gonta

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