【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―インテリジェンス 編―

2026年1月20日

吾輩は猫である ―インテリジェンス 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

人間はよく言う。
「賢い」「頭がいい」「インテリジェンスがある」と。
その基準は、
計算が早いことか、
知識が多いことか、
言葉が巧みなことか。

吾輩は少し疑問に思う。

賢さとは、
すぐに動くことではなく、
動かない選択ができることではないか。
危険を察し、
距離を測り、
今は待つべきだと判断する力。
それもまた、立派な知性である。

吾輩は扉の前で鳴かない。
一度、視線を送り、
相手の反応を見る。
それで開かなければ、
別の場所で静かに待つ。
無駄な力を使わぬこと。
それが猫のインテリジェンスだ。

飼い主は画面を見ながら唸っている。
情報が多すぎて、
判断に迷っているようだ。
吾輩は膝に乗り、
何も言わずに喉を鳴らした。
考えすぎた頭には、
沈黙がよく効く。

インテリジェンスとは、
答えをたくさん持つことではない。
問いを抱えたまま、
落ち着いていられることだ。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが知っている。
本当に賢い者ほど、
声を張り上げず、
静かに世界を読んでいる。

賢さは 声より先に 間を読む


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gonta

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