吾輩は猫である。名前はまだない。
机の上に、
急に紙が増えた。
内容はよくわからぬが、
量だけは、
はっきりしている。
人間は言う。
「これ、お願い」と。
説明は短く、
期限は近い。
どうやら、
丸投げという技らしい。
投げた者は、
身軽になる。
受け取った者は、
重くなる。
重さは、
仕事そのものではなく、
判断の欠如である。
吾輩は、
投げられた紙の上に座る。
すると不思議なことに、
誰も続きを言えなくなる。
本来、
仕事とは、
渡すものではない。
共有するものである。
決めるべきことを決め、
考えるべきことを考え、
その上で任せる。
それが、
投げぬ渡し方だ。
丸投げには、
勢いはあるが、
覚悟がない。
だから、
必ず誰かの足元に落ちる。
吾輩は猫である。
拾いはするが、
背負いはせぬ。
投げた責任は、
投げたところへ、
必ず返ると知っている。
丸投げは
軽く投げても
重く落つ