吾輩、信虎である。
今日は4匹で人間のテーマパーク「ナンジャタウン」に潜入だ。
猫が猫のまま堂々と入れるわけもないので、飼い主のバッグの中で移動し、
入場口近くの猫用カートに乗り換えた。
まずは餃子スタジアム。
鼻をくすぐる香りに、葵が目を輝かせる。
「この匂い…絶対うまいやつ!」
しかし吾輩らは猫。肉汁の香りだけで我慢だ。
代わりに、猫用かつおスナックを取り出し、
みんなでカリカリ音を立てる。
次はスイーツゾーン。
ふわふわのパンケーキやカラフルなパフェが並ぶ。
沙羅はじっとショーケースを見つめ、
「人間って、甘いもの作りに命を懸けてるのね」と感心していた。
獅子丸はというと、
「オレ、あのソフトクリームのてっぺんをひと舐め…」と前足を伸ばし、
飼い主にすぐ制止される。
アトラクションエリアでは、
「妖怪占いの館」に興味津々の葵。
結果は「好奇心旺盛で、よく毛玉を吐く運勢」。
みんなで大笑いだ。
夕暮れのライトアップが始まり、
カートに揺られて出口へ向かう。
「猫が遊園地なんて、滅多にない経験だね」と葵。
「次は遊園地じゃなくて、餃子食べ放題がいい」と獅子丸。
沙羅は黙ってしっぽを揺らし、
吾輩は、ネオンに照らされた仲間たちを見て思った。
――猫も人も、楽しい時間はあっという間だ。