【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫ドラマーと総理ドラマー共演 編―

2026年1月16日

吾輩は猫である ―猫ドラマーと総理ドラマー共演 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

ある夜、テレビの音がいつもと違った。
演説でも、討論でもない。
規則正しいリズムが、
低く、しかし確かに響いている。
――どうやら、総理がドラムを叩くらしい。

吾輩は思った。
政治とは言葉の芸だと思っていたが、
どうやら“間”の芸でもあるようだ。

そのとき、
吾輩の前にあるのは段ボール。
叩けば、よい音がする。
軽く、的確に、
肉球で打つ。
これは吾輩の持ち場だ。

ステージは違えど、
同じドラム。
総理は大きな太鼓を、
吾輩は小さな箱を。
だが、
どちらもリズムを外せば、
全体が崩れる。

総理のドラムは、
力強く、
少し重い。
決断の音が混じっている。

吾輩のドラムは、
軽やかで、
間が長い。
沈黙を挟むことを恐れない。

共演は一瞬だった。
画面の向こうで、
総理が一拍置く。
こちらで吾輩が、
さらに一拍置く。

飼い主が言った。
「猫のほうがリズムいいかもね。」
吾輩は否定しない。
ドラムとは、
叩く技術より、
叩かぬ勇気だ。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが知っている。
言葉が多すぎる時代には、
音よりも、
間が人を動かすことを。

一拍置き 国も箱も 音が立つ


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gonta

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