吾輩は猫である。
名前はまだない。
静かな空気の中で、
一瞬だけ風が切れる。
音はほとんどない。
だが、
確かに何かが起きた。
猫パンチである。
速い。
無駄がない。
そして、
だいたい当たる。
人間は、
力を込めたがる。
強く、
大きく、
確実に。
だが、
猫は知っている。
本当に必要なのは、
速さと間合いだ。
近すぎれば遅れ、
遠すぎれば届かぬ。
ちょうどよい距離で、
一瞬を捉える。
猫パンチは、
攻撃ではない。
確認である。
そこに何があるのか。
動くのか、
危ないのか、
無害なのか。
一撃で、
情報を得る。
だから、
強くない。
だが、
正確だ。
人間の世界にも、
似たものがある。
言葉一つ、
判断一つ。
大きく振るうより、
的確に当てる。
吾輩は猫である。
無闇に打たぬ。
だが、
打つときは外さぬ。
技とは、
力ではなく、
精度の積み重ねである。
一打にて
力より先に
間を打つ