【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫クエストIII 〜 魔王キャットタワー 編―

2025年12月14日

吾輩は猫である ―猫クエストIII 〜 魔王キャットタワー 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

ある朝、目覚めると
部屋の片隅にそびえる巨大な影があった。
――キャットタワーである。
だが、ただのタワーではない。

漆黒に光る柱、
見たことのない高層階、
てっぺんには禍々しい玉座。

その上に鎮座する者あり。
その名も 魔王キャットタワー・ダークネス卿
どう見ても、飼い主が通販で買ったタワーが“魔界化”したらしい。

その声が響き渡った。
「勇者ネコよ……IIIが始まるぞ……!」

吾輩は背中の毛を逆立てつつ、
そっと飼い主を見た。
飼い主はのんきにコーヒーを飲んでいる。
どうやら、この戦いは吾輩ひとりで挑むしかないようだ。


■第一階層:スーパーヒモの森

ロープが絡まる森を跳び回り、
ふらふら揺れる“ねこじゃらし草”を払いのける。
失敗するとロープが体に巻きついて、
**「ネコまきまき状態(敏捷 -50%)」**になる地獄の仕様。

吾輩は華麗にジャンプし、突破した。


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■第二階層:三つ又バトル爪研ぎ城

床全体が爪研ぎ。
踏むたびにザリザリ音が響き、
集中を失わせるトラップ。

ここでは「巨大敵・吸引掃除機」が登場。
轟音とともに現れ、毛玉を吸い込みながら襲ってくる。
吾輩は影のように滑り込み、
**「にゃんステップ回避」**で撃退した。


■最終階層:魔王キャットタワー玉座

漆黒の魔王が巨大なくつろぎポーズで言った。

「勇者よ。登りきったのは褒めてやろう。
 だが、この頂点は我の場所だ。」

吾輩は静かに答えた。
「……そこは、吾輩が昼寝したい場所でもある。」

魔王との最終決戦が始まった――
と言いたいところだが、
実際はただの にらみ合い 10 分 であった。

猫同士の争いとは、
威厳と根気の勝負なのである。

最後は魔王がごろんと横に倒れ、
負けを認めた。

「頂点……譲る……眠い……」

吾輩はてっぺんに登り、
朝日を浴びながら大きく伸びをした。

飼い主はその様子を見て、
「お、新しいタワー気に入ったんだね」と笑った。
魔界だの魔王だの、
まるで気づいていないようである。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが今、キャットタワー最上階の覇者となった。

塔の頂 陽を受け眠る 勇者かな


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gonta

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