【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―年始のご挨拶 編―

2026年1月1日

吾輩は猫である ―年始のご挨拶 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

朝の光が、いつもよりやわらかい。
カレンダーが新しくなり、
家の空気も少し改まっている。
どうやら今日は、年始のご挨拶をする日らしい。

飼い主は背筋を伸ばし、
「今年もよろしくお願いします」と
画面越しに何度も頭を下げている。
人間とは、
新しい年になると、
あらためて言葉を整える生き物のようだ。

吾輩はその足元に座り、
静かに様子を見守った。
猫に挨拶の言葉はないが、
姿勢で示すことはできる。
尻尾を巻き、
耳を落ち着かせ、
ただ、そこに居る。

挨拶とは、
何かを約束することではなく、
「これからも共にいます」と
確認し合う行為なのだろう。

飼い主が一息つき、
吾輩を見て微笑んだ。
「今年も一緒に、穏やかに過ごそうね。」
吾輩は喉を鳴らした。
それが吾輩なりのご挨拶である。

外では、
まだ正月の静けさが残っている。
急ぐものは何もない。
始まったばかりの一年に、
そっと礼をして、
今日を迎えればよい。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、この家で、
この人と迎える新年に、
静かに感謝している。

初頭を そろえて迎う 年の朝


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gonta

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