【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―大晦日 一年を振り返ってみよう 編―

2025年12月31日

吾輩は猫である ―大晦日 一年を振り返ってみよう 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

今日は大晦日。
外は冷え、家の中はどこか落ち着かぬ。
飼い主は掃除を終え、
こたつに入り、テレビをつけたまま静かにしている。
一年が、そっと終わろうとしているのだ。

吾輩は窓辺に座り、
この一年を思い返してみた。
春、日差しの場所を覚え、
夏、冷たい床を探し、
秋、抜け毛とともに風を感じ、
冬、膝のありがたさを知った。

大きな出来事は少なかったかもしれぬ。
だが、
毎日のご飯、
変わらぬ水、
名前を呼ぶ声。
それらが揃っていたことが、
何よりの出来事だった。

飼い主も一年を振り返っているようだ。
「いろいろあったけど……まあ、なんとかなったな。」
吾輩はその言葉に、静かに同意した。
完璧でなくても、
無事に今日まで来られたなら、それでいい。

除夜の鐘が鳴り始める。
遠くで、ひとつ、またひとつ。
煩悩を払う音だというが、
吾輩には、
時間をやさしく区切る音に聞こえる。

吾輩は飼い主のそばに行き、
丸くなった。
新しい年も、
特別なことはいらぬ。
ただ、同じように朝が来て、
同じように夜が来ればよい。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、この一年、
確かにここで生きていた。
それだけで、十分なのだ。

鐘ひとつ 丸くなりゆく 年の暮れ


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gonta

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