吾輩は猫である。名はまだない。
飼い主が難しい顔でニュースを見ていた。
「レアアースが止まると、困るんだよな。」
吾輩は首をかしげた。
皿の中身が減るわけでも、
暖房が止まるわけでもなさそうだが、
人間にとっては大事らしい。
レアアース。
名前は派手だが、
姿は地味で、
土の中にひっそりと眠っている。
だが、それがなければ、
画面も、
電池も、
静かに動く機械も成り立たぬという。
吾輩は思う。
猫の世界にも、
似たものがある。
毎日の水、
決まった時間、
安心できる匂い。
目立たぬが、
欠ければすぐに不安になる。
人間は、
便利になるほど、
見えないものに依存する。
そして、
見えないからこそ、
当たり前だと思ってしまう。
飼い主が言う。
「全部、誰かに頼りすぎるのはよくないよな。」
吾輩はその言葉に、
静かに同意した。
猫もまた、
一つの寝床だけに頼らず、
複数の逃げ場を持つ。
それが生きる知恵だ。
レアアースは、
争いの種にもなるが、
工夫の種にもなる。
代わりを考え、
使い方を見直し、
無駄を減らす。
それは、
人間がもう一段賢くなる合図かもしれぬ。
吾輩は猫である。名はまだない。
だが思う。
本当に貴重なものほど、
静かで、
なくして初めて気づくのだ。
土の奥 見えぬ力で 世を支え