【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫がスノボをやったら 編(七回転できるか?)―

2026年2月8日

吾輩は猫である ―猫がスノボをやったら 編(七回転できるか?)―

吾輩は猫である。名はまだない。

雪山は、
静かなようで忙しい。
白は音を吸い、
人の欲だけが、
やけに目立つ。

人間は、
板を履き、
空を回り、
回転数を数える。
七回転できるかどうかが、
重要らしい。

吾輩は思う。
猫がスノボをやったら、
七回転できるだろうかと。

結論から言えば、
できる。
ただし、
やらない。

猫の体は軽く、
重心は低く、
回転には向いている。
理屈の上では、
七回転も不可能ではない。

だが、
猫は数を目的にしない。
着地が見えぬ回転は、
跳ばぬ。
拍手のための空中散歩に、
命は賭けぬ。

猫が跳ぶのは、
必要な分だけだ。
高くではなく、
確実に。
多くではなく、
戻れる範囲で。

人間は言う。
「挑戦が大事だ」と。
それも一理ある。
だが、
生き延びる者の挑戦は、
成功率から逆算される。

雪面に残るのは、
回転数ではなく、
無事に降りた跡だ。
それを、
猫はよく知っている。

吾輩は猫である。
七回転はできる。
だが、
一回で降りる。
無事に戻ることこそ、
最も高度な技だからだ。

七回転
降りて歩ける
方を選ぶ


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gonta

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