吾輩は猫である。名はまだない。
近ごろ、飼い主がしみじみと吾輩をなでながら言った。
「君も、いつの間にか立派なシニア猫だねえ……
なんでそんなに元気なの?」
ふむ。
人間は気づいていないようだが、
“長寿の秘密”にはいくつかコツがあるのだ。
まずひとつめ。
よく眠る。
寝ることこそ、猫の魔法である。
歳を重ねれば重ねるほど、眠りは体と心を整える。
飼い主が働いている間、吾輩が熟睡に勤しんでいるのは、
決して怠惰ではない。
ふたつめ。
好きなものを、好きと言えること。
膝に乗りたいときは乗り、
撫でられたくないときはスッと離れる。
ストレスの少ない生き方、それが猫の長寿を支える。
みっつめ。
飼い主の愛情をきちんと受け取ること。
定期健診、清潔な水、快適な温度、
そして、毎日の優しいまなざし。
それらは薬以上の効力を持つ。
吾輩が長生きしている一番の理由は――
飼い主が良き“相棒”だからである。
長寿とは、時間の長さではない。
安心して過ごす日々が重ねられるかどうかだ。
吾輩は今日も膝に乗り、飼い主の胸の鼓動を聞く。
それだけで、明日も元気に生きられる気がする。
吾輩は猫である。名はまだない。
だが、この家で重ねた歳月こそ、
吾輩の最大の宝なのだ。
長生きの 秘訣はぬくもり ひざの春