【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―ホワイトデー 編―

2026年3月14日

吾輩は猫である ―ホワイトデー 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

三月になると、
人間は少し考え込む。
机の上には、
白い箱。
リボンは整い、
中身は甘い。

人間はこれを、
ホワイトデーと呼ぶ。

返す日らしい。

もらったものに、
応える。
それは、
礼でもあり、
照れ隠しでもある。

猫には、
返礼の習慣はない。
撫でられれば、
目を細める。
それだけで
十分だ。

だが人間は、
形を整える。
菓子に気持ちを包み、
箱に距離を収める。

大きすぎても、
小さすぎても、
意味が変わる。
人間の世界は、
なかなか繊細だ。

渡すとき、
言葉は短い。
受け取るとき、
笑顔は少しぎこちない。
それでいい。

気持ちは、
完全に説明されると
少し軽くなる。

吾輩は猫である。
菓子は食べぬ。
だが、
返そうとする心は知っている。
人の関係とは、
小さな返事を
積み重ねることらしい。


甘き日も
返す心に
春淡し


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gonta

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