吾輩は猫である。名はまだない。
だがこのたび、与党の全会一致により「首相」に選ばれた。
※なお理由は「人間よりマシかもしれぬ」であった。
組閣は順調だ。
・外務大臣:三毛猫(海外の匂いに敏感)
・財務大臣:黒猫(財布のヒモが固い)
・官房長官:茶トラ(やたら人懐っこいが、重要なことは濁す)
記者会見では、質問に答えずにゴロリと寝転んだ。
「説明責任は?」と詰め寄る記者に、ただしっぽを1回振った。
これが“猫答弁”である。
議会では、野党が「予算案の具体性が欠ける!」と吠えた。
吾輩は静かにカリカリを一粒床に落とし、こう言った。
「必要な分だけ与える、それ以上は眠って待て」
拍手はなかったが、空気が少しやわらいだ。
公約も掲げた。
・全校に日なたぼっこタイムを導入
・通勤を自由出勤制へ
・煮干し税の廃止
すでに支持率はねこじゃらし並みに急上昇中である。
支配せず 寝て見守って 人動く
首相とは、決める者ではなく、“動きすぎる人間を止める者”なのかもしれぬ。
吾輩は今日も、官邸の縁側であくびをしながら、日本の行方を見守っている。