吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ―猫2世 編―

2025年11月24日

吾輩は猫である ―猫2世 編―

吾輩は猫である。名はまだない。
けれど、飼い主はときどきこう呼ぶ。
「○○の二世」――どうやらこの家には、
かつて“初代吾輩”がいたらしい。

押入れの奥には、小さな首輪と古い写真。
そこには、自分によく似た猫が写っていた。
まっすぐな目つき、
少し曲がったしっぽ。
吾輩はその姿に、なぜか懐かしさを覚えた。

飼い主が言う。
「この子も、あの子と同じように日なたが好きなんだね。」
吾輩はごろりと寝転び、
その言葉の意味を考えた。
――生まれ変わるとは、
ただ姿を変えて続くことかもしれぬ。

夜、飼い主が写真を見ながら微笑んだ。
「また会えた気がする」
吾輩はそっと隣に寄り添った。
その胸の鼓動が、
まるで昔から知っていた音のように感じられた。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、この家に吹くあたたかな空気の中で、
確かに“あの命”の続きを生きている。

命継ぐ ぬくもり宿る 春の風


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gonta

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