【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫お年玉 編―

2026年1月9日

吾輩は猫である ―猫お年玉 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

正月の朝、
飼い主が小さな封筒を手にして笑っていた。
赤くて、つるりとして、
なにやら特別そうである。
「はい、お年玉。」

吾輩は首をかしげた。
封筒は軽く、
振っても音がしない。
――これは食べ物ではない。

中から出てきたのは、
新品の猫じゃらしと、
少し高級そうなおやつ。
「今年も元気でいようね。」
その言葉が、いちばんの中身だった。

吾輩はじゃらしに一瞬だけ反応し、
すぐに興味を失った。
だが、おやつは違う。
ゆっくり味わい、
満足げに舌をしまう。

飼い主は言う。
「猫にお金はいらないもんね。」
その通りである。
猫に必要なのは、
使い道を考える時間ではなく、
使われる時間なのだ。

お年玉とは、
未来への期待を包むものらしい。
ならば吾輩は、
今日も明日も元気に寝て、
ときどき遊び、
長く一緒にいることで応えよう。

吾輩は猫である。名はまだない。
だがこの家では、
封筒よりも、
手渡される時間のほうが価値がある。

お年玉 形はなくて 膝にあり


スポンサーリンク

  • この記事を書いた人

gonta

-【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編