【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―高校サッカー 編―

2026年1月21日

吾輩は猫である ―高校サッカー 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

冬になると、
テレビの前で飼い主の声が少し大きくなる。
芝生の上を、若い人間たちが走っている。
白い息、赤い頬、
そして、やけにまっすぐな目。
――高校サッカーである。

彼らはよく走る。
意味があるのか、
得なのか、
そんなことを考える暇もなく、
ただ、仲間の声に反応し、
ボールを追う。

吾輩は思う。
猫なら、
あそこまで走らない。
だが、
走らねばならぬ時があることは知っている。
逃げるためではなく、
守るために走るときだ。

点が入る。
歓声が上がる。
ベンチが跳ねる。
そして、
点が入らなくても、
泣く者がいる。
負けたからではない。
出し切ったからだ。

飼い主がぽつりと言う。
「いい顔してるな。」
吾輩はその横で目を細めた。
勝ち負けよりも、
一瞬の全力が、
人を強く見せるのだろう。

試合が終わり、
彼らは整列し、
深く頭を下げる。
あの所作は、
未来へ進むための区切りだ。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、この冬、
走りきった背中を見て思った。
若さとは、
無駄を恐れず、
今を信じ切れる力なのだと。

冬芝に 全力残し 夢進む


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gonta

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