吾輩は猫である。名はまだない。
港の風は、いつも少し先の話を運んでくる。
今日はその風に、
「万博」という言葉が混じっていた。
どうやら人間たちは、
未来を集める大きな催しを応援しているらしい。
横浜の街は、
新しいものに慣れている。
異国の匂いも、
見慣れぬ建物も、
いつの間にか景色の一部にしてきた。
だから万博も、
騒ぎ立てるというより、
静かに背中を押す感じだ。
飼い主は言った。
「横浜は、つなぐ役だよね。」
海と陸、
昔と今、
人と人。
猫から見ても、
ここは交差点のような街である。
吾輩は思う。
万博とは、
派手な未来を見せる場ではなく、
違いを並べて、
一度、同じ場所に置いてみる試みなのだろう。
それは、
猫が新入りと距離を測る作法にも似ている。
急がず、
無理に触れず、
まずは同じ空気を吸う。
横浜の応援は、
きっとそんな調子でいい。
吾輩は港を眺め、
しっぽをゆっくり揺らした。
未来は、
待ち構えるものではなく、
迎えにいくものだ。
吾輩は猫である。名はまだない。
だがこの街で、
静かに未来を信じる応援なら、
任せてほしいと思った。
港風 未来を結ぶ 猫の背