吾輩は猫である。
名前はまだない。
今日で、
一つが終わる。
暦の上では、
ただの一日だが、
人間にとっては
区切りらしい。
三月三十一日。
机の上には、
片付けきれぬ紙と、
締めきった仕事。
終わったものと、
終わらなかったものが、
同じ場所にある。
人間は、
振り返る。
やり切ったか、
足りなかったか。
答えは、
どちらでもないことが多い。
吾輩は思う。
区切りとは、
整理のための印だと。
すべてを終わらせる日ではない。
ただ、
ここまで来たと
認める日である。
窓の外には、
少しだけ春の気配。
終わりの隣に、
始まりが置かれている。
人は、
明日からを語る。
新しい年度、
新しい目標、
新しい役割。
だが、
本当は知っている。
明日もまた、
今日の続きであることを。
終わることで、
軽くなる。
始まることで、
少し重くなる。
それでよい。
吾輩は猫である。
年度は持たぬ。
だが、
区切ることの意味は知っている。
三月三十一日とは、
次へ進むために、
一度静かに座る日なのだ。
終わり日に
静かに座り
春を待つ