吾輩は猫である。
名前はまだない。
同じ出来事でも、
見る場所が違えば、
意味は変わる。
人間はこれを、
ウィキッド
と呼ぶ。
善と悪は、
最初から決まっているわけではない。
語られ方で、
色がつく。
ある者は、
正義として語られ、
ある者は、
悪として記される。
だが、
どちらにも理由がある。
吾輩は思う。
視点とは、
なかなか厄介なものだと。
高い場所から見れば、
全体が見える。
低い場所から見れば、
細部が見える。
どちらも正しく、
どちらも足りぬ。
人間は、
物語を単純にしたがる。
わかりやすく、
整理された形で。
だが、
現実はそうはいかぬ。
一方を知れば、
もう一方が見えなくなる。
両方を知れば、
簡単には語れなくなる。
猫は、
どちらにも立たぬ。
ただ、
少し離れて見る。
距離を取ると、
色が混ざり、
境界が曖昧になる。
そこに、
本当の輪郭が現れる。
吾輩は猫である。
善悪は決めぬ。
だが、
見方が変わる瞬間は知っている。
理解とは、
一つの答えではなく、
複数の視点を持つことなのだ。
立ち位置で
白も黒にも
染まりけり