吾輩は猫である。
名前はまだない。
運転席の前に、
小さな目がある。
前だけでなく、
内側も見ている。
人間はこれを、
ドライブレコーダと呼ぶ。
最近は、
外だけでは足りぬらしい。
運転する者の様子も、
記録する。
視線、
動き、
一瞬の油断。
すべてが、
後から見返される。
吾輩は思う。
見られている時より、
見られていない時の方が、
本当は重要だと。
記録があるから、
丁寧にする。
それも一つだ。
だが、
記録がなくても、
同じであること。
それが、
本当の安全である。
運転とは、
技術だけではない。
状態である。
焦り、
疲れ、
気の緩み。
それらが、
判断を変える。
ほんの一秒、
視線を外すだけで、
結果は変わる。
だから、
常に整える。
吾輩は猫である。
運転はしない。
だが、
見張ることはできる。
静かに、
ただ前を見続ける。
安全とは、
誰かに見られることではなく、
自らを見続けることなのだ。
見る目より
自分を見る目
忘れぬな