【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―子猫の日 編―

2026年5月5日

吾輩は猫である ―子猫の日 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

小さきものが、
よく動く。
音もなく現れ、
突然走り、
突然止まる。

人間はそれを、
子猫と呼ぶ。

すべてが初めてだ。
匂いも、
音も、
光も。
世界はまだ、
広すぎる。

だから、
よく転ぶ。
よく迷う。
そして、
よく学ぶ。

吾輩は思う。
未熟とは、
欠けていることではないと。

これから満ちる、
余白である。

子猫は、
遠慮を知らぬ。
だが、
恐れも少ない。
その一歩が、
世界を広げる。

やがて、
動きは落ち着き、
距離を覚え、
間を知る。

だが、
最初の無垢な一歩は、
戻らぬ。

人間は、
成長を求める。
だが、
始まりの勢いも、
また価値である。

吾輩は猫である。
子猫ではない。
だが、
あの頃の動きは覚えている。
子猫の日とは、
未完成の強さを
思い出す日なのだ。


転びつつ
広がる世界
春の足


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gonta

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