吾輩は猫である。
名前はまだない。
道が広くなるほど、
速さも増す。
流れは止まらず、
判断の時間は短くなる。
人間はこれを、
高速道路、
あるいはバイパスと呼ぶ。
便利である。
遠くまで、
早く届く。
だが、
速さは、
危うさも連れてくる。
合流、
車線変更、
急な割り込み。
一瞬の迷いが、
大きな差になる。
吾輩は思う。
危険とは、
特別な時だけ現れるものではないと。
「慣れた頃」が、
最も危うい。
少しの油断、
確認不足、
急ぎたい気持ち。
それらが重なると、
視野は狭くなる。
人間は、
目的地ばかりを見る。
だが、
大切なのは、
無事に着くことである。
速さを競わぬ。
無理に入らぬ。
車間を空ける。
疲れたら休む。
それだけで、
防げるものは多い。
吾輩は猫である。
道路は渡らぬ。
だが、
速い流れの怖さは知っている。
安全とは、
技術だけではなく、
余裕を持ち続けることなのだ。
急ぐほど
狭くなるのは
視野である