【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―初めてのETC 編―

2026年6月15日

吾輩は猫である ―初めてのETC 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

前方に、
細い門が並んでいる。
緑の光、
赤い表示、
そして、
少しの緊張。

人間はこれを、
ETCと呼ぶ。

止まらずに通れる。
それが、
便利らしい。

だが、
初めての時は違う。

本当に開くのか。
反応しなかったらどうする。
速度は大丈夫か。
考えるほど、
少し怖い。

吾輩は思う。
新しい仕組みとは、
便利さより先に、
不安が来るものだと。

慣れた者には、
当たり前。
だが、
初めての者には、
小さな挑戦である。

ゆっくり近づく。
表示を見る。
音を聞く。
そして、
静かに通る。

抜けた瞬間、
少しだけ肩の力が抜ける。

人間は、
経験を積むたび、
怖さを忘れる。
だが、
最初の慎重さは、
悪いものではない。

確認し、
備え、
無理をしない。
それが、
安全につながる。

吾輩は猫である。
高速は走らぬ。
だが、
初めて通る門の緊張は知っている。
慣れとは、
無理に飛び込むことではなく、
一度無事に通り抜けることから始まるのだ。


初めての
門を抜ければ
風変わる


  • この記事を書いた人

gonta

-【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編