吾輩は猫である。
名前はまだない。
目の前に、
高い壁がある。
越えようとしても、
届かぬ。
人間はこれを、
世界の壁と呼ぶ。
国内では、
通用した。
努力も、
技術も、
自信もあった。
だが、
世界は、
その少し先にいる。
速さも、
強さも、
精度も。
ほんの少しの差が、
決定的な差になる。
吾輩は思う。
世界の壁とは、
才能の壁ではないと。
積み重ねの壁である。
一日では埋まらぬ。
一か月でも難しい。
だが、
一歩ずつ近づくことはできる。
人間は、
敗北を恐れる。
だが、
世界を知ることなく、
強くはなれぬ。
負けることで、
足りないものが見える。
勝つことで、
足りていたものがわかる。
その両方が、
成長をつくる。
猫は、
高い塀を見れば、
何度か跳ぶ。
届かなければ、
別の場所を探す。
諦めるのではない。
越え方を変えるだけだ。
吾輩は猫である。
世界一にはならぬ。
だが、
高い壁の意味は知っている。
世界の壁とは、
越えられないものではなく、
昨日の自分を越え続けた者だけが、
ようやく手をかけられる場所なのだ。
高き壁
越える相手は
昨日の我