【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―夏季休暇 編―

2026年8月5日

吾輩は猫である ―夏季休暇 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

朝になっても、
人間が出かけない。

目覚ましは鳴らず、
鞄も持たず、
いつまでも家の中を歩いている。

人間はこれを、
夏季休暇と呼ぶ。

働くことを休み、
心と体を整えるための時間らしい。

だが、
休みだからといって、
人間はじっとしていない。

旅行へ行く。
買い物へ行く。
予定を詰める。
渋滞にも並ぶ。

休むために、
ずいぶん忙しそうである。

吾輩は思う。

休暇とは、
普段できないことを
すべて行う日ではない。

何もしなくてもよいと、
自分に許す時間ではないかと。

昼まで眠る。

冷たい飲み物を口にする。

蝉の声を聞きながら、
ぼんやり空を眺める。

それだけでも、
休みは休みである。

人間は、
立ち止まることに
少し罪悪感を持つ。

だが、
休まずに走り続ければ、
いつか進めなくなる。

猫は、
疲れる前に休む。

暑ければ日陰へ移り、
眠ければ眠り、
涼しくなってから動き出す。

それは怠けではない。

明日も元気に暮らすための、
立派な調整である。

吾輩は猫である。
夏季休暇は持たぬ。
だが、
休むべき時に休む知恵は持っている。
夏季休暇とは、
遠くへ出かけるためだけではなく、
日常へ元気に戻るための余白なのだ。


休む日に
予定を減らし
風を聞く

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gonta

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