【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―夏休み帰省ラッシュ 編(新幹線、車、フェリー)―

2026年8月12日

吾輩は猫である ―夏休み帰省ラッシュ 編(新幹線、車、フェリー)―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

夏になると、
人間は一斉に動き出す。

駅へ。

高速道路へ。

港へ。

人間はこれを、
帰省ラッシュと呼ぶ。

新幹線では、
大きな荷物を抱え、
指定席を探し、
ホームを急ぐ。

車では、
渋滞に並び、
サービスエリアで休み、
長い距離を少しずつ進む。

フェリーでは、
車ごと船に乗り込み、
海の上で時間を渡る。

行き方は違う。

だが、
向かう先は似ている。

久しぶりの家。

懐かしい顔。

「帰ってきたね」と言ってくれる場所。

吾輩は思う。

帰省とは、
移動することではないと。

自分の原点へ、
少しだけ戻ることなのだ。

だが、
人間は急ぎすぎる。

一本でも早い新幹線。

少しでも前へ進みたい車。

早く着きたい気持ち。

その焦りが、
旅を疲れに変えることもある。

猫なら、
無理はしない。

混んでいれば待つ。

疲れれば休む。

危ないと思えば、
少し距離を取る。

帰ることより、
無事に帰ることの方が大切だからだ。

新幹線には、
新幹線の速さがある。

車には、
車の自由がある。

フェリーには、
フェリーのゆっくりした時間がある。

どれが一番ではない。

誰と帰るか。

どんな気持ちで帰るか。

それが、
旅の重さを決める。

吾輩は猫である。
帰省ラッシュには加わらぬ。
だが、
玄関の向こうから聞こえる
「ただいま」の声は嫌いではない。

夏休みの帰省とは、
人が一斉に移動する日ではなく、
それぞれが自分の「帰る場所」を
確かめに行く時間なのだ。


道違えど
ただいま目指す
夏の旅

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gonta

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