吾輩は猫である。
名前はまだない。
最近、
人間はAIを、
画面の中だけでは満足できなくなったらしい。
考える。
見る。
聞く。
そして、
とうとう歩かせ始めた。
人間はこれを、
AIロボットと呼ぶ。
吾輩は思う。
ずいぶん欲張りである。
今までは、
質問すれば答えるだけだった。
ところが、
今度は物を運ぶ。
部屋を片付ける。
工場で働く。
人間の代わりに、
現実の世界へ手を伸ばす。
なるほど。
AIに、
体がついたのである。
猫で言えば、
頭だけだった者に、
突然四本の足と尻尾が生えたようなものだ。
もっとも、
尻尾までは必要ないと思う。
吾輩は思う。
頭が良いことと、
上手に動けることは、
別なのだと。
机の上なら、
多少間違えてもやり直せる。
だが、
現実の世界では違う。
物を落とす。
人にぶつかる。
階段を踏み外す。
一つの判断が、
そのまま結果になる。
だから、
賢いだけでは足りぬ。
周囲を見る。
危険を避ける。
分からなければ止まる。
そして、
人間に聞く。
案外、
慎重さの方が大切なのかもしれない。
人間は、
AIロボットに期待する。
重い仕事。
危険な仕事。
単調な仕事。
人手が足りない場所。
確かに、
助けになるだろう。
だが、
何でも任せればよいわけではない。
誰が責任を持つのか。
どこまで自分で判断させるのか。
間違えた時、
誰が止めるのか。
機械が賢くなるほど、
人間が考えることも増えていく。
吾輩は思う。
これは少し不思議である。
楽をするために作った機械なのに、
使いこなすためには、
人間も賢くならねばならない。
だが、
それでよいのかもしれぬ。
道具とは、
人間に代わるものではない。
人間のできることを、
広げるものなのだから。
吾輩は猫である。
AIロボットには少し警戒する。
突然近づかれれば、
まず距離を取る。
だが、
吾輩の猫砂を掃除し、
飯を運び、
静かに去ってくれるのなら、
共存を考えてもよい。
AIロボットとは、
人間の代わりになる機械ではない。
人間が何を任せ、
何を自分で引き受けるのかを、
もう一度考えさせる存在なのだ。
AIも
猫に近づく
まず徐行