吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― エアコンクリーニング編 ―

2025年7月6日

吾輩は猫である ― エアコンクリーニング編 ―

吾輩は猫である。名はまだない。
だがこの家で、一番風の流れに敏感な存在である。

いつもの場所で昼寝をしていると、
突然、天井の機械が異音を立てた。
「ぶおっ…」「ギギギ…」――これは異常だ。
さっそく吾輩は監視体勢に入る。

数時間後、マスクと脚立を携えた男たちがやってきた。
飼い主が言う。「エアコンクリーニング、頼んだのよ」

なるほど。
風の出処に人間が群がっているのはそのためか。

脚立の上で、パネルを外し、奥の部品を洗う。
黒い水が流れ落ちる様子を見て、
吾輩は悟った。
この涼しさの裏に、これだけの汚れが潜んでいたのか――と。

風の裏 黒き積年の カビの影

作業員が「これで快適になりますよ」と言って帰る頃、
部屋の空気はどこか軽く、静かに澄んでいた。

飼い主は満足げに言う。
「猫のためにもね、きれいにしておかないと」
――なるほど、涼しさも健康も、
人間の“整える力”あってのことか。

吾輩は今日、
改めてこの部屋の風を受けながら思う。

猫は風を選べないが、
いい風に包まれるかどうかは、人の心がけ次第である。


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gonta

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