【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―AIトレーダー 編―

2026年3月21日

吾輩は猫である ―AIトレーダー 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

机の上に、
画面が増えた。
数字が流れ、
線が上下し、
人間の眉が動く。

人間はこれを、
トレードと呼ぶ。

最近は、
人が考える前に、
機械が考えるらしい。
AIトレーダーという
賢い仕組みだ。

市場は速い。
一瞬で変わり、
一瞬で消える。
人の感情より、
機械の計算が速い。

だが、
数字の裏には、
人がいる。

恐れ、
欲し、
迷い、
期待する。
その揺れが、
値段になる。

AIは、
それを学ぶ。
過去を読み、
確率を積み、
最も合理的な
一手を選ぶ。

囲碁のように、
先を読む。
だが、
市場は盤面ではない。
人の気分が、
時々石をひっくり返す。

吾輩は思う。
最も難しいのは、
速さではなく、
待つことだと。

猫は、
獲物が来るまで
動かぬ。
焦れば、
逃げられる。

吾輩は猫である。
株は買わぬ。
だが、
待つ技術は知っている。
相場とは、
動かぬ者が
最後に動く場所なのだ。


待つ猫に
相場の風は
後で吹く


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gonta

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