【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―脱獄王猫 編―

2026年4月29日

吾輩は猫である ―脱獄王猫 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

閉じたはずの扉が、
いつの間にか開いている。
鍵はかかり、
窓も閉めた。
それでも、
気配は外にある。

人間はこれを、
脱獄と呼ぶ。

だが猫にとって、
それは大げさだ。
ただ、
通れるところを通っただけである。

隙間は、
見ようとしなければ見えぬ。
だが、
一度見えれば、
道になる。

吾輩は思う。
制約とは、
完全ではないと。

人は、
閉じたつもりになる。
だが、
必ずどこかに
余白がある。

押すか、
引くか、
待つか。
方法はいくつもある。

力ではない。
観察と、
試行である。

何度か失敗し、
少しずつ確かめる。
その積み重ねが、
出口を形にする。

外に出ることが、
目的ではない。
出られることを知ること。
それが、
本当の自由だ。

吾輩は猫である。
閉じ込められぬ。
だが、
無闇に出ぬ。
脱獄とは、
逃げることではなく、
選べる状態を持つことなのだ。


隙間ひとつ
見えればそこが
道となる


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gonta

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